2019年6月9日日曜日

スクエア1中級解法パート5 EPその1 - EP 2look処理に必要なEP手順

 本記事はスクエア1中級解法シリーズのパート5に当たる記事です。

 本記事ではEPについて扱います。

 記事の本編に入る前に、全てのEP手順が掲載されている情報源として、ともにスクエア1の元世界記録保持者であるBrandon LinCharlie Starkのスプレッドシートを紹介しておきます。EPの手順はこれらを参照すれば十分です。

どのEPを覚えるか

 スクエア1のEPは全部で99種類あり、いきなり全てを覚えるのは現実的ではありません。というか、99種類全てを覚えて有効に活用している人はおそらく世界に一人もいません。
 
 ではどのEPを選んで覚えればいいのかという話ですが、基本的にはlook数を減らしていく方針が良いと思います。本シリーズ中級解法での当面の目標は、EPを2look以内で処理できるようになることです。

 2look以内でEPを処理するための方法論はsquare45011さんの記事で解説されています。3点交換以内のEPの中から特に汎用性の高いものを覚えておき、手順を知らないEPが出現した場合はadj - adjやopp - oppを1回用いることで既知のEPに帰着すればよいわけです。
CP時のペア保存を強く推奨する理由はここにあります。最低1ペアを保存すれば確実に3点交換以内のCPが出現するわけですから、ペア保存のテクニックを用いれば最初から既知のEPが出現する可能性がかなり高くなります。

 初級解法を覚えてひとまずスクエア1を解けるようになった方の多くは、adj - skip (L perm)・adj - adj (L-L perm)・opp - opp (I-I perm)の3つのEPを知っていると思います。 この記事ではこれらに加えて、EPを2look以内で処理するために必要な汎用性の高いEPをいくつか紹介します。

EPお品書き

 本記事で紹介するEPのリストです。パリティなしとパリティありのそれぞれで上側に書かれているものほど暗記の優先度が高いです。上から順番に覚えていってみてください。
  • パリティなし
    • adj - adj
    • opp - opp
    • opp - adj
    • adj - opp
    • easy U - U 2種類
    • bad U - U 2種類
    • U - skip 2種類
  • パリティあり
    • U - adj  2種類
    • adj - U 2種類
    • adj - skip
    • skip - adj
※adjはLとも、oppはIとも呼ばれます。

 本記事では手順の回転記号に加えて、中段反転の有無も掲載します。反転の有無は手順とセットで覚えるようにして下さい。これを知らないと後述するEPと中段反転のキャンセルができないからです。

EP手順(パリティなし)

adj - adj

0,-1/-3,0/1,1/2,-1/  反転無し

4,3/3,0/-1,-1/-2,1/ 反転無し

-2,-3/-1,2/1,1/ 0,-3/ 反転無し

adj - adjは交換するパーツの位置が異なるバリエーションがいろいろあります。最初は気に入ったものを覚えてみてください。上達してきたら複数覚えて使い分けをすることもできます。

opp - opp

1,0/-1,-1/6,0/1,1/ 反転無し

1,0/5,-1/-5,1/ 反転あり

opp - oppは反転無しと反転ありの手順の両方が有用です。最初は片方を覚えれば十分ですが、上達してきたら反転の有無で使い分けをします。

opp - adj ・ adj - opp

1,0/0,-1/0,-3/5,0/-5,0/0,3/0,1/ 反転あり

0,-4/0,1/0,3/1,0/-1,2/0,1/0,3/1,0/ 反転無し
0,-1/1,0/3,0/0,-5/0,5/-3,0/-1,0/ 反転あり

4,0/-1,0/-3,0/0,-1/-2,1/-1,0/-3,0/0,-1/ 反転無し

これらもopp - oppと同様に反転有無両方の手順が有用です。上達してきたら使い分けます。

easy U - U

1,0/5,-1/-3,0/1,1/-3,0/ 反転あり
1,0/3,0/-1,-1/3,0/-5,1/ 反転あり

 adj - adjを2回使っても揃えられますが、上記の専用手順の方が手数がかなり短いので覚えておくのが吉でしょう。

bad U - U

1,0/5,-1/-3,0/1,1/2,-1/-3,0/1,1/-3,0/

6,-3/-3,0/3,3/0,-3/1,-1/-3,0/3,3/0,-3/
ともに反転無し
1,0/3,0/-1,-1/3,0/-3,0/1,1/2,-1/-5,1/

-5,-4/-3,0/3,3/0,-3/-1,1/-3,0/3,3/0,-3/
ともに反転無し

 bad U-Uは8手かかります。adj-adj2回と手数が変わらないので、そちらでもいいかもしれません。
 1段目のものはeasy U-Uの途中にadj - adj EPを挟んだ手順、2段目のものはUにJするとJになるのでU-UはJ-JしてJ-Jという感じ(?)の手順です。

U - skip

/3,0/1,0/0,-3/-1,0/-3,0/1,0/0,3/ 反転無し
1,0/0,-3/-1,0/3,0/1,0/0,3/-1,0/-3,0/ 反転無し

 U - skipも両方8手でadj-adj2回と手数は変わりませんが、うまい指づかいをすれば非常に回しやすい手順です。余力があれば覚えてみてください。

EP手順(パリティあり)

 ここからパリティありの手順です。パリティがある場合は1度cube shapeを崩さないとパリティを解消できないので、EP手順が必然的に長くなります。
 覚えている手順が少ないうちはEPで3lookないし4lookかかることもあると思いますが、その時に1回のソルブで2度以上パリティありのEPを回さないことを必ず念頭においてください。パリティありのEPを回すのは原理的に最大1回で済むはずです。

U - adj・adj - U

/3,3/1,0/-2,-2/-2,0/2,2/-1,0/-3,-3/1,0/3,0/-1,-1/0,3/

6,0/3,3/1,0/-2,0/-4,0/0,-4/0,-4/0,-2/0,5/3,3/

0,6/-3,-3/0,1/0,-2/0,-4/-4,0/-4,0/-2,0/5,0/3,-3/

-5,-1/-3,-3/5,0/-2,0/-4,0/-4,0/0,-4/0,-2/0,1/-3,-3/

全て反転無し
/3,3/1,0/-2,-2/2,0/2,2/-1,0/-3,-3/0,2/1,-2/-1,-1/-2,1/

6,3/-3,-3/0,-5/0,2/0,4/0,4/4,0/2,0/-1,0/-3,-3/

0,-3/3,3/-5,0/2,0/4,0/4,0/0,4/0,2/0,-1/3,3/

全て反転無し
/3,3/-1,0/2,2/-2,0/-2,-2/1,0/-3,-3/0,2/1,-2/-1,-1/-2,1/

-3,6/3,3/5,0/-2,0/-4,0/-4,0/0,-4/0,-2/0,1/3,3/

6,0/3,3/5,0/2,0/4,0/0,4/0,4/0,2/-3,-2/-3,-3/

全て反転無し
/3,3/-1,0/2,2/2,0/-2,-2/1,0/-3,-3/0,-1/1,-2/-1,-1/-2,1/

0,6/-3,-3/0,-1/0,2/0,4/4,0/4,0/2,0/-5,0/-3,-3/

6,0/-3,-3/0,-1/0,-2/0,-4/0,-4/-4,0/-2,0/-5,0/-3,-3/

全て反転無し

パリティありのEPの中では最も出現確率が高いEPがこの4種です。手順のバリエーションがいろいろありますが、好きなものを選んで覚えてみてください。

adj - skip・skip - adj

/-3,0/0,3/0,-3/0,3/2,0/0,2/-2,0/4,0/0,-2/0,2/-1,4/0,-3/

反転あり
1,0/2,0/-3,0/0,3/0,-3/0,3/2,0/0,2/-2,0/4,0/0,-2/0,2/-1,4/0,-3/-2,3/

反転あり
※下線部はadj - skip EP

 adj - skipはL permとも呼ばれ、スクエア1のgod numberと同手数の13手を要する手順として有名です。長いので、他のEPをadj - skipやskip - adjに帰着するのはできる限り避けましょう。U - adj・adj - Uの4つのうちのどれかに帰着するのが基本です。
 skip - adjは図の位置から1,0/2,0とセットアップすることでadj - skipに焼き直すことができます。


 今回の記事で紹介するEP手順は以上です。理想的にはあらゆるEPを2look以内で処理できると良いですが、覚えている手順が少ないうちは難しい場合もあるでしょう。その場合は3look・4lookかかっても構いません。adj-adjやopp-oppを複数回用いて既知のEPに帰着してみてください。

EPと中段反転のキャンセル

 EP実行後に中段反転が残ることがわかっている場合は、EPの最終1手と中段反転の処理をキャンセルさせます。
 キャンセルの方法は過去に功さんのブログで解説されていますので、そちらをご覧ください。(功さんのブログでは中段反転・UD反転とのキャンセルが紹介されていますが、本記事の解法ではUD面色は固定しているので中段反転のみ考慮すればOKです。)

9 件のコメント:

  1. Adj-oppの反転ありの手順がミスってます正しくは多分0,-1/1,0/3,0/0,-5/0,5/3,0/1,0/だと思います。

    返信削除
    返信
    1. あ、0,-1/1,0/3,0/0,-5/0,5/-3,0/1,0/だったw

      削除
    2. こんばんは。コメントありがとうございます。

      adj-oppの手順はご指摘の通り間違っていました。
      正しくは 0,-1/1,0/3,0/0,-5/0,5/-3,0/-1,0/ ですね。
      訂正しました。 
      (2手も誤記しており、情けなく思う限りです。)

      ご指摘ありがとうございました。

      削除
    3. 早く対応してくださりありがとうございますめっちゃ見てますこのサイト!!!!だから更新してください!!!!

      削除
  2. すいません。UD面色が固定されているので中段反転だけを気にすればいいと書いていますが、僕のやり方だと、UD反転も起こってしまいます。UD面色を固定するにはどうすればいいですか?例えば整形の時とかCOの時になんかすると固定できるとかそういう感じですか?

    返信削除
    返信
    1. こんにちは。

      UD面色を固定して解くには、
      ① COのときに黄色がU面/白がD面になるように揃える。
      ② EO, CP, EPの手順はUD面の色が入れ替わらないものを使う。
      の2点を守る必要があります。

      ①はこのシリーズのパート1の記事を参照してください。といっても大したことではなく、黄色がU面になるように揃えるというだけです。

      ②について、この記事シリーズで紹介している手順はすべてUD面の色が入れ替わらないものなので、そのまま使えば自動的にUD面色の固定は達成できます。
      他の古いサイトなどに載っている手順の一部には手順前後でUD面の色が入れ替わってしまうものがあります(特にEOはそのような手順が散見される)。現状覚えている手順が入れ替わりの発生するものである場合は、この記事シリーズで紹介している手順に乗り換えてください。

      削除
  3. 返信ありがとうございます。つまりcubezoneは信用するべきではないってことですかね?出来ればでいいのですが、信用できそうなサイトを教えてくれますでしょうか?

    返信削除
    返信
    1. cubezoneは信用すべきでないと言うと角が立つ言い方になりますが...
      20年近く前に書かれたものなので、今のスピードキュービングから見れば古いと言わざるを得ません。

      信用できそうなサイトはずばりこの「スクエア1中級解法」シリーズです。(!!!!)と言いたいところですが、他を挙げておくと、

      ■EO、CP
      ・Brandon Rin のサイト ( https://brandonlin.com/cubing/eocp.html )
      ■EP
      ・Charlie Starkのスプレッドシート ( https://docs.google.com/spreadsheets/d/16lJ3YvrVJOi6AxkrM2W4MfRVQCbJWiKd_yjCTaMs8QA/edit#gid=0 )
      ・alg DB ( http://algdb.net/puzzle/sq1/ep )

      あとは全般的にCube Master氏の動画シリーズ ( https://www.youtube.com/playlist?list=PLF0mfn_ogsH_18a0wZYTx3fILsK_YWyaC )
      などを見るのがよいかと思います。

      ただし、この中から1つの手順だけを試してその回しやすさ/回しにくさに関わらず全幅の信頼を置くようなことはお勧めしません。
      手順のバリエーションがそれなりに豊富なので、回しにくいと感じた手順は他のバリエーションも試して、最も回しやすいと自身で納得したものを覚えるようにすることを推奨します。

      削除
    2. わかりました、教えてくださりありがとうございます。

      削除