2019年12月3日火曜日

スクエア1中級解法パート10 種々の先読み

 本記事はスクエア1中級解法シリーズのパート10に当たる記事です。

 本記事ではスクエア1ソルブ中の各パートで可能な次ステップの先読みについて述べます。①成形、②CO、③EO、④CPの各パートでの先読みについて順番にコメントしていきます。

1.成形最終1手でのCO手順先読み

 成形の最終1手は必ずkite - kite → square - squareの遷移で終わります。この遷移のときにU面のコーナーの色がどのように変わったかを見ておくと、CO前にD面を確認しなくてもCO手順が確定できる場合があります。(後述しますが、できない場合もあること注意。)

 例えば成形最終1手でU面のコーナーの色が以下の画像のようにコーナーの色が変わったとしましょう。
CO手順の先読みが可能なコーナー色の変化

 この場合、kite - kite → square - square の遷移の過程で黄色のコーナー4個の所在を全て特定することができるので、D面を見なくてもCO手順がわかります。具体的には、右のsquare - squareの状態では黄色のコーナーは ULB, URB, URF, DRB の4か所にあります。

 これがわかれば、あとはCOを処理するだけです。上の例では右のsquare - squareの状態から 4,0/3,0/などとすればCOを揃えることができます。(成形最終1手でU面からD面に移った黄色コーナーは、次にD面を回さずにもう一度スラッシュすると同じ位置に戻ってくる、と考えるとこの手順を容易に思いつくことができると思います。)

 
 ところで、先述のとおりこの先読みは毎回のソルブで必ず使えるわけではありません。例えば、以下のようなコーナーの色の移り変わりの場合はkite - kite → square - squareの遷移の間にU面を見ているだけではCO手順を確定することはできません。
CO手順の先読みが不可能なコーナー色の変化
この場合、黄色と白のコーナーの所在がともに3つずつしか確定しないので、CO手順はD面を確認しにいかないとわかりません。
 要は、DLFとDLBを黄色と白のコーナーが1個ずつ占めている場合はこの先読みは通用しないわけです。

 この先読みできないパターンに陥る確率は計算してみると約57%(6C3×2C1/8C4 = 0.571... 合ってる?)で、結構高めです。先読みできる場合に賭けるか、先読みできないものと割り切って成形終了直前から先回りしてD面を見に行くかどちらが良いかは意見の分かれるところかと思います。

 また、この先読み方法を拡張して成形終了の2or3手前からコーナー色の遷移を把握しておけば、毎回のソルブで必ずCO手順を先読みすることが可能になるのかもしれません。ですがそのアイデアは私の中では固まっていないので、誰かこれを確立できている方がいれば教えてほしいです(丸投げ)。

2.CO中のEO先読みはできるか

 変なサブタイトルにしましたが、CO中にEOを先読みするのは厳しいと思います。CO最終1手が終わる前に食い気味にD面を見に行ってEOのパターンとAUDFを確認するのが吉でしょう。

3.EO開始時およびEO中のCP先読み

 EOの記事でも述べましたが、本記事シリーズで紹介した4-4を除くすべてのEO手順は、手順前後ですべてのコーナーの位置が不変です。これを利用して、CPのパターンとその前に必要なAUDFを先読みすることができます。
 例えばEOがone-oneで、EO手順適用の前のAUDFが済んだ状態で側面の色の配置が以下の画像のようになっていたとしましょう。
 
 この場合、EO手順前後で全てのコーナーの位置が不変であることを考えればこの後のCP手順がadj - diagであって、その前に必要なAUDFが(3,0)であることがわかります。非常に簡単ですね。

 CPの判断基準は2×2のortega methodなどで使用するものと同様です。
 2側面を見たときに、
  • 同一色のペア×2 → CPなし
  • 同一色のペア + 隣接色のペア → adj CP
  • 対面色のペア + 隣接色のペア → adj CP (対面色ペアの裏に同一色ペアがある)
  • 対面色のペア×2 → diag CP
というようになります。一応2側面判断を前提として判断基準を書きましたが、実際はEO前に大きなAUDFがあることが多いので、ほとんどの場合3側面ないし4側面が見えます。さほど身構えなくても判断はできるでしょう。

 ところで、この先読みの時にU段とD段どちらのCPから先に確認するのがよいかという話ですが、私はU段を先に確認するのが良いと思います。というのは、D段はEOを回している最中でもCPの情報が手に入るからです。

 なぜそんなことができるかと言うと、4-4を除くすべてのEO手順ではその最中にDLF, DL, DLBの3パーツがその場から動かないからです。
図中黄色枠で囲った3パーツはEO手順の最中に全く動きません。各EO手順を回して確認してみましょう。
 したがって、D段L面のCPの情報はCOの最中でも手に入りますから、D段はF面のコーナーの色の組さえ見ておけば(F面なんて注視せずとも勝手に目に入るとも言える)、後からCPを確定できるという訳です。
 
 また、上記のD段の3パーツが動かないという特徴から、CP時ペア保存をD段に関して右ペアと左ペアのどちらで行えばよいかまでわかる場合があります。例えば上の画像の場合ではDL - DLFのペアが残るので、CP時ペア保存の際はADFはなしでよい(0,-1 としなくてよい)ことがわかります。

4.CP時のEPパターン先読み

 CP時ペア保存の原理で、色が揃っているエッジ-コーナーのペアは保存されるのはもちろんですが、当然色が揃っていないペアもそのまま残ります。したがって、CP前後でエッジ-コーナーのペアの数は保存します。
 
 これを利用すると、CPの時点でEPをかなり絞り込むことができます。具体的には、色が揃っているエッジ-コーナーのペアの個数に応じてそれぞれ
  • ペア4個 → skip
  • ペア2個 → adj, opp
  • ペア1個 → cwU, ccwU
  • ペア0個 → Z, H, cwO, ccwO, W
のどれかであることは確定します。ペア0個の場合はあまりアドバンテージになっていない気がしますが、それ以外の場合は有効な情報になるでしょう。

 さらに、ペア2個の場合は保存するペアの色の関係からadj or oppを確定させることができます。例えば以下の画像の場合を考えてみましょう。
CPの記事の画像の使いまわしです。
 この場合、UD段ともこの位置からCPを回せば2ペアずつが保存されます。U段は青のペアと橙のペアが保存しますが、これらは隣接色の関係なので、CP後はadj EPが残ります。また、D段は青のペアと緑のペアが残りますが、これらは対面色の関係なので、CP後はopp EPが残ります。
 したがって、この場合CP後のEPはadj - oppになることがCPを回す前からわかります。

ペア2個保存のときにadjとoppをCP前に判別できる原理

 このように、ペア2個保存の場合は2ペアの色の関係が隣接色か対面色かでEPがadjになるかoppになるかを判別できます。



 本記事で紹介する先読みの手法は以上です。

 一応この記事を以ってスクエア1 中級解法シリーズは終了です。記事を読んで知識をつけて頂いた方は、あとは練習を積むのみですのでがんばってください。
 文字と図だけで説明していても限界があるのでexample solveの動画もモチベがあがれば撮りたいところですが、果たしていつになるやら…