2020年5月3日日曜日

お散歩日帰り旅行記 三浦・三崎編

 2月某日、河津桜を見に三浦に行くことにしました。

 一般的な桜の見ごろは関東周辺だと例年4月上旬あたりですが、河津桜は早咲きの桜で2月中旬から下旬に見ごろを迎えます。河津桜の本場はその名前のルーツでもある伊豆半島南東の河津町ですが、東京近辺では神奈川県の三浦海岸周辺も河津桜の名所として有名です。東京から1時間半くらいで気軽に出かけられます。
 

 東京都の品川駅からスタート。京急線に乗って三浦海岸駅へ向かいます。
 今回は京急で発売されているみさきまぐろきっぷを使って出かけることにしました。
 
みさきまぐろきっぷ

 三崎口駅までの往復切符+三浦市内バス乗り放題・三浦市内のまぐろグルメ食事券・三浦市内のレジャー施設利用券がセットになった切符です。

品川駅
11:28
(京急線)
三浦海岸駅
12:30

 出発遅くない?当時大学院生の私は生活リズムが完全に崩壊しており、早起きして各地へ赴くなど到底無理な話でした。皆さんはこうならないように。
 まあ、三浦は昼前に思い立ってから行っても十分楽しめるスポットだということで。(雑なまとめ)


 駅を降りると、さっそく桜が満開になって咲いていました。


きれいですね~ ちょうど見ごろという感じの時期に来ることができました。写真には写っていませんが、駅前には屋台が出ていて、三浦の名産品などを売っていました。毎年河津桜の時期に合わせて三浦海岸桜まつりというお祭りをするようです。


 駅前から歩いて海岸のほうへ。
道中にいた猫


 2月なので人もおらず長閑な風景が広がっていましたが、夏は海水浴客で賑わうのでしょうか?天気が良かったのでしばらく海を眺めていました。

三浦海岸
住所 神奈川県三浦市南下浦町
アクセス 京急線三浦海岸駅から徒歩3分
営業日・時間 -
webページ


 続いて桜祭りのメイン会場でもある小松ヶ池公園方面へ。





道中、京急線の線路に沿ってたくさんの河津桜が植えられており、壮観という感じ。河津桜は開花時期が菜の花と重なっており、一緒に植えられていることが多いようです。ピンクと黄色のコントラストが綺麗ですね。

 メイン会場の小松ヶ池公園では屋台がたくさんでており、いかにもお祭りという雰囲気でした。まあ特に何も買いませんでしたが…


小松ヶ池公園
住所神奈川県三浦市南下浦町上宮田
アクセス 京急線三浦海岸駅から徒歩18分
営業日・時間 -
webページ


 小松ヶ池公園から歩いて三崎口駅へ。そこからバスに乗って城ヶ島へ向かいました。
よく見ると三崎マグロ駅に改称されている三崎口駅。京急は駅名看板で遊びがち。

三崎口駅バス停
14:59
(京急バス)
城ヶ島バス停
15:27

 バスは20分に1本くらいはあるようなので、困ることはないでしょう。
 で、バスを降りて城ヶ島灯台へ。
灯台の近くにいた猫。漁港のある街とあって人慣れした猫が多いんでしょうか。

 城ヶ島灯台(じょうがしまとうだい)とは、神奈川県南東部、三浦半島南端沖に浮かぶ城ヶ島西端の長津呂崎にある灯台。標高約 30 m の崖上に建ち、相模灘を照らす。周辺は太平洋を望む景勝地で、海岸の磯は観光客で賑う。日本で5番目に点灯した西洋式灯台で、現在の灯台は2代目のもの。
  城ヶ島には江戸時代より烽火(のろし)台が設置され、灯台としての役割を果たしていた。幕末を迎え鎖国が解かれると浦賀水道の出入路に近いことから西洋式灯台の建設地に選ばれ、明治3年に初点灯。その後関東地震で倒壊するが再建され、白色円筒形の現在の姿となった。
  過去には灯台博物館も設置されていたが、昭和40年代に廃館となった。普段は内部に入ることはできないが、イベント開催時など、稀に内部公開されることがある。付近一帯は城ヶ島灯台公園として整備されている。
  2001年発表された、トロと休日のロケ地として知られている。
(全部wikipediaからコピペ)



眺めのいいところです。特に天気のいい日には富士山や伊豆大島も見えるんだとか。

 日が傾いてきました。岩礁と太平洋と夕暮れの景色を眺めていたいところでしたが、もたもたしていると時間がなくなってしまうので先を急ぎます。

城ヶ島灯台
住所神奈川県三浦市三崎町城ヶ島
アクセス 京急バス城ヶ島バス停から徒歩3分
営業日・時間 -
webページ


 城ヶ島灯台公園の奥にある城ヶ島京急ホテルの温泉に日帰り入浴しました。みさきまぐろきっぷについてるレジャー券をここで使えます。

 温泉は室内と露天が1つずつあり、露天風呂は太平洋を眺めながら入浴できる大変景色の良いところでした。
 平日ということもありこの時間の利用客は私ともう1名だけ。その1名も途中で帰られたのでその後は私が温泉を独占していました。ホテルや旅館の内湯の日帰り入浴はこれがいいんだよな。

城ヶ島京急ホテル
住所神奈川県三浦市三崎町城ヶ島693
アクセス 京急バス城ヶ島バス停から徒歩5分
営業日・時間 日帰り入浴
11:00~18:00
webページ

 温泉を上がったら、城ヶ島バス停に戻ってバスに乗り今度は城ヶ島の東側へ。
城ヶ島バス停
16:52
(京急バス)
白秋碑前バス停
16:55


 バス停から歩いて城ヶ島公園に入り、脇道に入って馬の背洞門へ行きました。
途中階段が天然物になっているところがあります。足元注意。
馬の背洞門



 馬の背洞門は海の波によって岩場が侵食されてできたアーチ状の地形。現在は海面よりも高いところにあり、侵食によってできたとはどういうことかと思ってしまいますが、これは1923年の関東大震災によってこの一帯の地形が1mほど隆起したためで、震災前は馬の背洞門は海の中にあったそうです(参考リンク)。大地の力って感じ。

馬の背洞門
住所神奈川県三浦市三崎町城ヶ島
アクセス 京急バス白秋碑前バス停から徒歩15分
営業日・時間 -
webページ


 来た道を戻り、今度は城ヶ島西端の安房埼灯台(あわさきとうだい)へ。
途中から険しい岩場ですが、灯台までの電気系統が収納されていると思われるコンクリート固めの帯のようなものがあり、これを道代わりにして進んでいきます。




 安房埼灯台の名はここから東京湾を挟んで安房の国を見渡せることに由来しているそう。
 灯台がingressのポータルになっていたので、敵チームのレゾネータを破壊して自分所有のポータルにしておいたのですが、2時間後くらいに見たら取り返されていました。もう日も暮れていたと思うのですが… なんで?

安房埼灯台
住所神奈川県三浦市三崎町城ヶ島
アクセス 京急バス白秋碑前バス停から徒歩20分
営業日・時間 -
webページ
google mapの表示が”旧”安房埼灯台となっているので不思議に思い調べてみたところ、どうやら老朽化に伴い建て替えをするようです。建て替え前の勇姿を収めた写真となりました。


 日が暮れかかってきたので灯台の下からは退散してバス停へ。
ピンボケしていますが、城ヶ島大橋。白秋碑前バス停付近より。

 寒い。完全に湯冷めしました。皆さんはこんなことにならないように早めに家を出発して余裕を持った観光をしてくださいね(泣)。

白秋碑前バス停
18:31
(京急バス)
三崎港バス停
18:41


 で、夜飯。三崎港バス停近くにある庄和丸というお店で食べました。みさきまぐろきっぷについているまぐろグルメ用チケットを渡すと専用メニューが食べられます。
左上がまぐろのお刺身、右上はまぐろの竜田揚げです。まぐろ美味そうですね。
庄和丸
住所神奈川県三浦市三崎5丁目2−1
アクセス 京急バス三崎港バス停から徒歩1分
営業日・時間 水曜日定休
10:30~17:00
webページ
お店のwebページを見たら営業時間が17:00までになっていましたが、本当でしょうか?私あきらかに17:00よりも遅くに入店しているのですが…
 コロナの時期にこの記事を書いているので臨時の時間表示になっているだけかもしれないです。



 まぐろを食べ終わったらバスと電車を乗り継いでぼちぼち帰りました。
三崎口駅にいた猫。しばらく見ていると、地域の人達に可愛がられているようでした。

 帰りも三浦海岸駅でいったん降りて、桜を見ていきました。ライトアップされています。夜桜です。



 三浦海岸駅20:10ごろの電車で帰りました。
 以上。

2019年12月3日火曜日

スクエア1中級解法パート10 種々の先読み

 本記事はスクエア1中級解法シリーズのパート10に当たる記事です。

 本記事ではスクエア1ソルブ中の各パートで可能な次ステップの先読みについて述べます。①成形、②CO、③EO、④CP、⑤EPの各パートでの先読みについて順番にコメントしていきます。

1.成形最終1手でのCO手順先読み

 成形の最終1手は必ずkite - kite → square - squareの遷移で終わります。この遷移のときにU面のコーナーの色がどのように変わったかを見ておくと、CO前にD面を確認しなくてもCO手順が確定できる場合があります。(後述しますが、できない場合もあること注意。)

 例えば成形最終1手でU面のコーナーの色が以下の画像のようにコーナーの色が変わったとしましょう。
CO手順の先読みが可能なコーナー色の変化

 この場合、kite - kite → square - square の遷移の過程で黄色のコーナー4個の所在を全て特定することができるので、D面を見なくてもCO手順がわかります。具体的には、右のsquare - squareの状態では黄色のコーナーは ULB, URB, URF, DRB の4か所にあります。

 これがわかれば、あとはCOを処理するだけです。上の例では右のsquare - squareの状態から 4,0/3,0/などとすればCOを揃えることができます。(成形最終1手でU面からD面に移った黄色コーナーは、次にD面を回さずにもう一度スラッシュすると同じ位置に戻ってくる、と考えるとこの手順を容易に思いつくことができると思います。)

 
 ところで、先述のとおりこの先読みは毎回のソルブで必ず使えるわけではありません。例えば、以下のようなコーナーの色の移り変わりの場合はkite - kite → square - squareの遷移の間にU面を見ているだけではCO手順を確定することはできません。
CO手順の先読みが不可能なコーナー色の変化
この場合、黄色と白のコーナーの所在がともに3つずつしか確定しないので、CO手順はD面を確認しにいかないとわかりません。
 要は、DLFとDLBを黄色と白のコーナーが1個ずつ占めている場合はこの先読みは通用しないわけです。

 この先読みできないパターンに陥る確率は計算してみると約57%(6C3×2C1/8C4 = 0.571... 合ってる?)で、結構高めです。先読みできる場合に賭けるか、先読みできないものと割り切って成形終了直前から先回りしてD面を見に行くかどちらが良いかは意見の分かれるところかと思います。

 また、この先読み方法を拡張して成形終了の2or3手前からコーナー色の遷移を把握しておけば、毎回のソルブで必ずCO手順を先読みすることが可能になるのかもしれません。ですがそのアイデアは私の中では固まっていないので、誰かこれを確立できている方がいれば教えてほしいです(丸投げ)。

2.CO中のEO先読みはできるか

 変なサブタイトルにしましたが、CO中にEOを先読みするのは厳しいと思います。CO最終1手が終わる前に食い気味にD面を見に行ってEOのパターンとAUDFを確認するのが吉でしょう。

3.EO開始時およびEO中のCP先読み

 EOの記事でも述べましたが、本記事シリーズで紹介した4-4を除くすべてのEO手順は、手順前後ですべてのコーナーの位置が不変です(CPが不変なばかりでなく、絶対的な"位置"が不変です。強調しておきます。)。これを利用して、CPのパターンとその前に必要なAUDFを先読みすることができます。
 例えばEOがone-oneで、EO手順適用の前のAUDFが済んだ状態で側面の色の配置が以下の画像のようになっていたとしましょう。
 
 この場合、EO手順前後で全てのコーナーの位置が不変であることを考えればこの後のCP手順がadj - diagであって、その前に必要なAUDFが(3,0)であることがわかります。非常に簡単ですね。

 CPの判断基準は2×2のortega methodなどで使用するものと同様です。
 2側面を見たときに、
  • 同一色のペア×2 → CPなし
  • 同一色のペア + 隣接色のペア → adj CP
  • 対面色のペア + 隣接色のペア → adj CP (対面色ペアの裏に同一色ペアがある)
  • 対面色のペア×2 → diag CP
というようになります。一応2側面判断を前提として判断基準を書きましたが、実際はEO前に大きなAUDFがあることが多いので、ほとんどの場合3側面ないし4側面が見えます。さほど身構えなくても判断はできるでしょう。

 ところで、この先読みの時にU段とD段どちらのCPから先に確認するのがよいかという話ですが、私はU段を先に確認するのが良いと思います。というのは、D段はEOを回している最中でもCPの情報が手に入るからです。

 なぜそんなことができるかと言うと、4-4を除くすべてのEO手順ではその最中にDLF, DL, DLBの3パーツがその場から動かないからです。
図中黄色枠で囲った3パーツはEO手順の最中に全く動きません。各EO手順を回して確認してみましょう。
 したがって、D段L面のCPの情報はCOの最中でも手に入りますから、D段はF面のコーナーの色の組さえ見ておけば(F面なんて注視せずとも勝手に目に入るとも言える)、後からCPを確定できるという訳です。
 
 また、上記のD段の3パーツが動かないという特徴から、CP時ペア保存をD段に関して右ペアと左ペアのどちらで行えばよいかまでわかる場合があります。例えば上の画像の場合ではDL - DLFのペアが残るので、CP時ペア保存の際はADFはなしでよい(0,-1 としなくてよい)ことがわかります。

4.CP時のEPパターン先読み

 CP時ペア保存の原理で、色が揃っているエッジ-コーナーのペアは保存されるのはもちろんですが、当然色が揃っていないペアもそのまま残ります。したがって、CP前後でエッジ-コーナーのペアの数は保存します。
 
 これを利用すると、CPの時点でEPをかなり絞り込むことができます。具体的には、色が揃っているエッジ-コーナーのペアの個数に応じてそれぞれ
  • ペア4個 → skip
  • ペア2個 → adj, opp
  • ペア1個 → cwU, ccwU
  • ペア0個 → Z, H, cwO, ccwO, W
のどれかであることは確定します。ペア0個の場合はあまりアドバンテージになっていない気がしますが、それ以外の場合は有効な情報になるでしょう。

 さらに、ペア2個の場合は保存するペアの色の関係からadj or oppを確定させることができます。例えば以下の画像の場合を考えてみましょう。
CPの記事の画像の使いまわしです。
 この場合、UD段ともこの位置からCPを回せば2ペアずつが保存されます。U段は青のペアと橙のペアが保存しますが、これらは隣接色の関係なので、CP後はadj EPが残ります。また、D段は青のペアと緑のペアが残りますが、これらは対面色の関係なので、CP後はopp EPが残ります。
 したがって、この場合CP後のEPはadj - oppになることがCPを回す前からわかります。

ペア2個保存のときにadjとoppをCP前に判別できる原理

 このように、ペア2個保存の場合は2ペアの色の関係が隣接色か対面色かでEPがadjになるかoppになるかを判別できます。

5.EP後のAUDF先読み ※24年6月追記

 EPの手順を回し終わっても、AUDFが完了するまでソルブは終わりません。3×3の場合はPLL手順と一緒にAUFまで覚えればなんということはない部分ですが、スクエア1の場合はU段・D段の両方を考慮する必要があること、さらに中段反転が入るとAUDFが変わることから、手順と一緒にしてAUDFを覚える方針はやや大変です。
 そこで簡易的な(かつ十分通用する)対処法は、EP手順の最終スラッシュ前から後にかけて、スクエア側面の左半分を凝視してAUDFを判断する方法です。

要するに例えば、EP手順の最終スラッシュをしている最中に上図中の黄色で囲った部分を凝視すれば、最後のAUDFが -3,6 だということが容易にわかる、という話です。

 ここを疎かにして、EPを回し終わってからAUDFを考えていると普通に1秒以上ロスするので、ソルブの最後まで気を抜かないようにしましょう。

 また、中断反転なしの場合に上下段ともAUDFがEP手順前後で変わらないEPのパターンを把握しておくのは結構助けになると思います。例えば、adj-adj や  U-skip(adj-adj 2回や J-J 2回 でない専用手順)などは手順前後でAUDFが変わりません。


 本記事で紹介する先読みの手法は以上です。

 一応この記事を以ってスクエア1 中級解法シリーズは終了です。記事を読んで知識をつけて頂いた方は、あとは練習を積むのみですのでがんばってください。
 文字と図だけで説明していても限界があるのでexample solveの動画もモチベがあがれば撮りたいところですが、果たしていつになるやら…

2019年8月15日木曜日

スクエア1中級解法パート8 成形その3 - 長手数成形を処理するための考え方

 本記事はスクエア1中級解法シリーズのパート8に当たる記事です。

 本記事では長手数を要する難しい成形の手順を覚えやすくする、あるいは記憶がおぼつかない成形手順をインスペクション中に思い出すための考え方をいくつか紹介します。

/1,0/系の操作によるエッジ位置の切り替え

 /1,0/ やその上下・左右対称の操作(/-1,0/、/0,1/、/0,-1/)は、その回しやすさのため長手数成形の最適手順中にしばしば現れます。この操作がスクエア1の形状に与える影響を把握しておくと、多くの長手数成形を体系的に処理できるようになると思います。

 実例を用いて説明していきます。例としてpawn - kiteの成形を考えてみましょう。(スクランブル:/-3,0/-2,-1/2,0/3,0/2,-3)
pawn - kite
このスクランブルの成形手順(の一例)は -2,-3/1,0/-4,0/-1,0/-3,0 です。 赤太字で書いた/1,0/の前後でのスクエア1の形状の遷移に注目してみましょう。実際に成形手順を回して観察してみて下さい。
 すると、下図のように/1,0/の前後ではU面のスラッシュ位置の隣にあったエッジが1つD面に移動し、一方D面のスラッシュ位置の隣にあったエッジが1つU面に移動していることがわかると思います。
/1,0/部分でのpawn - kiteからの遷移
ここで、パーツの移動という見方は一旦忘れて、純粋に形状の変化だけをU,D面それぞれで観察してみます(上図の下半分・上半分をそれぞれ隠してみると良いかも)。
 すると、U面ではスラッシュ位置の隣にあったエッジが1つ取り除かれ、代わりにその対角位置にエッジが1つ付け付け加えられていることがわかります。一方D面でも同様に、スラッシュ位置の隣にあったエッジが1つ取り除かれ、代わりにその対角位置にエッジが1つ付け加えられています(伝われ)

 結局、/1,0/やその上下・左右対称の操作は、UD面のそれぞれで、スラッシュ位置の隣にあるエッジを1つ取り除き、その対角位置にエッジを1つ付け加える作用があるものとみなすことができます(下図)。pawn - kite の場合はこれにより、簡単な3手成形である shield - square に帰着されています。

「UD面のそれぞれで、スラッシュ位置の隣にあるエッジを1つ取り除き、その対角位置にエッジを1つ付け加える」のイメージ。


 逆に言えば、「UD面のそれぞれでエッジを1つ取り除き、その対角位置にエッジを1つ付け加える」ことによって簡単な成形に帰着できる形は、/1,0/系の操作が有効だということになります。この作用を適用したいエッジをAUDFでスラッシュ位置の隣にセットアップし、/1,0/、/-1,0/、/0,1/、/0,-1/ の中から適当なもの選んで回せばよいわけです。

次の例として mushroom - pawn の成形を考えてみましょう。(スクランブル:/-3,-3/0,-1/-4,0/4-5/)
mushroom - pawn
この成形を「UD面のそれぞれで、エッジを1つ取り除きその対角位置にエッジを1つ付け加える」ことによって簡単な成形に帰着することはできないでしょうか。


 しばらく考えると、この成形は scallop - scallop に帰着できそうであることに気づきます。では、どのようなAUDFをして、/1,0/、/-1,0/、/0,1/、/0,-1/ のうちどれを使えば scallop - scallop に帰着できるでしょうか。


 正解は 5,0/0,1/ です(もしくは -1,6/1,0/ でもOK)。
5,0/0,1/とした場合の mushroom - pawn → scallop - scallop の遷移
scallop - scallop に帰着できたら、あとは普通に成形するだけです。結局このスクランブルの成形手順は 5,0/0,1/0,-2/-2,-1/3,3/ (もしくは -1,6/1,0/0,-2/-1,-2/-3,-3 など)となります。


 このように /1,0/ やその上下・左右対称の操作によって簡単な成形に帰着できるパターンは 4 corners(UD面それぞれにコーナーが4つある成形) のものに多くあります。以下の表にその例をまとめておきます。
実用上は、どのパターンがどの簡単な成形に帰着できるのかを前もって覚えておき、AUDFと適用する/1,0/系の操作はインスペクション中に場当たり的に考えれば十分通用すると思います。
 ですが、その操作の探し方は私は感覚的にやっていていまひとつ言語化しにくいところです。これに関しては各自で体得してもらう他ありません。

成形 操作 帰着先
(AUDFは合わせていません)
pawn - kite
/0,1/
shield - square
pawn - square
/1,0/
scallop - kite
mushroom - pawn
/-1,0/
scallop - scallop
shield - pawn
/1,0/
kite - scallop
fist - shield
/0,1/
easy pawn - pawn
bad pawn - pawn
/-1,0/
scallop - scallop
kite - square
/-1,0/
shield - kite

 該当するものを(前後・左右対称のものは除いて)網羅しましたが、中には1手でstarに帰着しているものや、1手で5-1 - paired edges に帰着していると見なせるものもあります。自分が覚えやすいように覚えてみてください。


/2,0/系の操作によるエッジ位置の切り替え

前節の応用として、エッジ2つのペアに対しても同様の考え方を適用することができます。例えば barrel - shield は下図の向きから /-2,0/ とすることで scallop - scallop に帰着できます。
barrel - shield → scallop - scallop の遷移
/1,0/系の操作と比べると該当パターンが少なく(というか恐らくこの1パターンだけ?)汎用性は低いですが、それでも成形の最適手順を覚える上での一助にはなるでしょう。

3 cornersを利用したL-shapeの向き変更

shield - kiteの成形を考えてみましょう。(スクランブル:1,-1/0,-3/-3,-2/0,-2/6,-4/4,3)
shield - kite
このスクランブルの成形手順は 2,-3/-2,0/2,0/-1,0/-3,0/ です。赤太字で書いた/-2,0/の部分での変形に注目しましょう。
 すると、U面のshieldのコーナーが3つ連続した部分を利用することで、U面側の形に影響を与えずにkiteの右半分のL-shapeが逆向きに変更されていることがわかります。これによりshield - kiteは3手成形であるshield - squareに帰着されています。
shield の 3 corners を利用したL-shapeの向きの変更。ピンクで色を付けた部分をL-shapeと呼んでいます。
このように一方の面に3 cornersがあるパターンでは、もう一方の面にあるL-shapeだけを逆向きに変更することができます。
 同様の考え方は scallop - square にも適用できます。
scallop - square でのL-shapeの向きの変更。scallop - kiteに帰着している。

3 cornersを利用したエッジペアの位置ずらし

前節で紹介した3 cornersの利用の仕方に似たものとして、エッジペアの位置ずらしがあります。例として bad pawn - fist の成形を考えてみましょう(スクランブル:1,-1/-3,0/5,-2/0,-4/-2,-4/-4,0)。
 余談ですが、pawn - fist の easy or bad の判断は私の場合「片面にkiteを作れる位置にAUDFしたときに、エッジのペアが2つともスラッシュ面の隣に来るかどうか」で行っています。隣に来ればeasy、来なければbadです(文面だけで伝えるのは苦しい)。

 このスクランブルの成形手順の例は 4,0/0,2/-4,0/-1,4/-3,0/ です。赤太字で書いた/0,2/の部分でエッジペアの位置をずらし、3手成形のeasy pawn - pawnに帰着しています(下図)。
bad pawn - fistでのエッジペアの位置ずらし
同様の考え方はshield - scallop → scallop - scallopの帰着やmushroom - scallop → kite - scallopの帰着などにも適用できます。これらはそれぞれ偶数系エッジのパターンと1手で5-1 - paired edgesに帰着するパターンであり今更目新しさはないかもしれませんが、それでも2スラッシュ分を一連の動きとしてとらえることができるため手順の見通しは良くなるように思います。

7手成形とその経路上の成形の暗記

 スクエア1の成形に要する最長の手数は7手であり、該当パターンは kite - squareの1通りしかありません(スクランブル:/3,0/1,0/-2,0/2,0/-2,0/1,0/)。

 これは割り切って暗記してしまいましょう。成形手順は下図の左端の向きから /-1,0/2,0/-2,0/2,0/-1,0/-3,0/ です。
kite - square の成形手順中での遷移図
 実際に回してみると(回さなくても手順の回転記号を見れば)わかりますが、一切D面を回すことなく成形できる非常に回しやすい手順です。

 遷移をよく観察してみると、まずkite - squareから/-1,0/の操作によりshield - kiteに帰着、さらにshield - kiteから3 cornersを利用したL-shapeの向きの変更によりshield - squareに帰着、という手順の構造になっていることがわかります。今回の記事で紹介した考え方の組み合わせになっていることに注意すれば、手順を覚えるのにさほど苦労することはないでしょう。

 また、上記の遷移図の途中に現れている成形もあわせて覚えてみてください。これらも当然D面を一切回さずに成形できるパターンです。




 今回の記事で紹介する成形の考え方は以上です。成形手順の暗記を苦行だと感じている方は少なくないと思いますが、これらの考え方を参考にしてがんばってみてください。
 本シリーズで個別に触れていない成形のパターンはまだたくさんありますが、そのほとんどが本シリーズで扱った成形のパターンに1手で帰着できるはずです。残りの成形は各自で地道に覚えていってみてください。成形の8割以上を最短手数でこなせるようになれば、タイムがかなり安定してくるはずです。